コラム

焼肉店の効果的な臭い対策は?原因や対処法を紹介

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焼肉店は店内で焼いた食材の煙を屋外に排煙するため、近隣住宅や店舗との間で臭いトラブルが発生するケースがあります。飲食店の臭いは法律でも規制されているため、適切に対策を行わなければなりません。

これから焼肉店を始めようと考えている方は、臭いトラブルのリスクを把握しておくことも大切です。
この記事では、焼肉店の効果的な臭い対策や臭いの原因、対策を紹介します。

焼肉店は臭いトラブルに注意が必要

焼肉店は飲食店の中でも臭いトラブルが多く発生しています。
ここでは、焼肉店の臭いトラブルが多い原因や排気に関する法律を紹介します。

焼肉店の臭いトラブルは多い

環境省 水・大気環境局大気生活環境室発行の『飲食業の方のための『臭気対策マニュアル』~ 地域で愛されるための悪臭対策の事例集 ~』に記載されている平成22年度地方公共団体アンケート調査結果によると、飲食業の悪臭苦情ランキングにおいて焼肉・ホルモン店は1位となっています。

焼肉店で臭いトラブルが多く発生している理由は、肉を焼くときの臭いや油煙が屋外に排出されるためです。
特に街の中で営業しているお店は、周囲がビルに囲まれていたり、住宅と近い距離に立地していたりします。このような立地だと屋外に排出された臭いが拡散されず、濃い臭いのまま同じ場所に漂って悪臭の原因になります。

焼肉の臭いは「美味しそうないい匂い」「食欲をそそる臭匂いと感じる人もいるなど、すべての人が悪臭と感じるわけではありません。しかし、近隣で毎日同じ臭いを嗅いでいる住民にとっては、大きなストレスに感じている可能性もあります。

飲食店の排気は法律で定められている

焼肉店に限らず飲食店を開業する場合は、悪臭防止法や建築基準法、消防法(火災予防条例)など、火気の取り扱いや換気に関する法律が定められています。

悪臭防止法は事業活動に伴って発生する悪臭について、必要な規制を行うことで生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とした法律です。一方、建築基準法では飲食店の排気設備について、排気口や排気口の設置場所や面積、換気方式などが定められています。

火災予防条例は火災の発生を防止し、死傷事故や財産の損失を防ぐことを目的とし、火を使用する設備の設置方法や可燃物との離隔距離等を各市町村が決めています。

そのため、焼肉店を始める場合はダクトや換気扇、防火ダンパーなどを使って適正な換気や火災予防に努めると共に臭い対策に務める必要があります。

焼肉店の臭いの原因

焼肉店の臭いの原因は、肉を焼いて発生する煙以外にもあります。
ここでは、焼肉店の臭いの原因を紹介します。

焼肉の臭い

焼肉店で発生する代表的な臭いのひとつは、焼肉による油煙(ゆえん)です。
油煙とは、肉を焼いたときに発生する油と水蒸気が混ざった煙のことで、強い臭いに加えて、換気扇や床、壁がべたべたする原因にもなります。また、油煙は髪の毛や洋服、布製品などにも付着して、人にも焼肉の臭いを付着させます。

焼肉店では、加熱されて焼いた肉の油より加熱されて焼いた肉の油から煙が発生しやすいというわけです。焼いた肉の油が炭の上に直接落ちるようになっている構造だと、油煙は多く発生しやすい特徴があります。

ゴミの臭い

焼肉店の臭いの原因として、油煙のほかに廃棄食材や残飯などの生ゴミが挙げられます。
生ゴミがたくさん出て回収までの期間が長いと、ゴミ箱の中で腐敗し、悪臭となって周囲に臭いが漏れ出すというわけです。特に気温の高い夏場は食材の腐敗が進みやすく、強烈な臭いが生じやすい特徴があります。

また、食べ残しのゴミは水分が多く含まれており、収集される際に強い臭いを放つ液体が漏れ出してしまう場合もあります。生ゴミは放置すると臭いだけではなく害虫が発生したり、繁殖したりなど、さらなる被害につながる場合もあるでしょう。

排水の臭い

焼肉店の臭いの原因として、排水の臭いが挙げられます。
排水溝には食品の汚れや油、洗剤などが流れており、これらを放置することで雑菌が発生し、臭いを放つという仕組みです。また、排水溝がつまってしまうと、汚水が溢れたり、逆流したりすることで、下水の臭いがする場合もあります。

これらの臭いは、焼肉を焼いて発生する油煙のような食欲を刺激するような臭いではなく、悪臭です。
排水の臭いが強い場合は、近隣トラブルだけではなく、客足が遠のいてしまうリスクがあります。排水の臭いが気になる場合は早めに対処する必要があるでしょう。

焼肉店の臭い対策を進める際のポイント

お店から臭いが出ている場合は、早めに対策を進めなければなりません。
ここでは、焼肉店の臭い対策を進めるポイントを紹介します。

臭いがあるか確認する

臭い対策を行うにあたって、まずはお店から臭いが発生しているかどうかを確認しましょう。

普段から臭いの発生源の近くにいると、悪臭であっても鼻が慣れてしまうため、気づかない場合もあります。少しの臭いでも近隣の方から苦情がくる可能性もあるため、慎重に確認することが大切です。

お店の周辺を数人で歩き、どれくらいの臭いがするか調べましょう。その際、お店の従業員ではなく、鼻が慣れていない人を同行させることで一般の人の感じる臭いが把握しやすくなります。
また、焼肉店の臭いは営業時間中、営業前、営業後でも変わるため、それぞれの時間帯で調査を行いこましょう。

臭いを元から断つ

臭いが発生していることを確認した場合、臭いの原因を元から絶つことができないか調べましょう。
調理作業やゴミによって臭いが漏れている場合、お店の窓や出入り口を開けっ放しにしないようにします。ごみの容器を密閉して臭いが漏れないようにしたり、涼しい場所にゴミを置いたりなど、臭いの発生を抑えましょう。

排水の臭いが漏れている場合は、側溝に排水を溜めないことがポイントです。また、グリストラップや排水溝、側溝をこまめに清掃して清潔に保ちましょう。
他にも、作業工程の見直しや使用する材料の変更によって発生する臭いが大きく軽減される場合もあります。

臭いをできるだけ薄める

ダクトから排出される油煙のように、臭いの原因を元から絶つことが難しい場合は、臭いをできるだけ近隣から離して排出しましょう。

臭いは原因となっている場所から離れるほど薄まっていくため、近隣の窓や給気口から離れた高い場所や風通しがいい場所から排出すると薄められます。

また、暖かい空気は上昇する性質があるため、温度の高い油煙は排出されると上方向に進むのも特徴です。そのため、同じ強さの臭いでも排気口の位置が高いと近隣へ漏れる臭いも少なくなります。

焼肉店の効果的な臭い対策

近隣とのトラブルを防ぐためにも、臭いが気になる場合は早めに対策しましょう。
ここでは、焼肉店の効果的な臭い対策を紹介します。

臭いを広げない

臭い対策として、まずは臭いを広げずに発生ポイントで対処することを中心に対策しましょう。
具体的には、なかなか困難のですが、可能なら強い臭いが出る調理工程は苦情の出にくい時間帯に実施したり、毎日の仕込みを週に2〜3日にまとめて行ったりするのも方法の一つです。

焼肉店では、肉や野菜の仕込みをはじめ、スープや冷麺、ビビンバなどの調理も必要となる場合があります。仕込みによって発生する生ゴミも強い悪臭の原因となるため、お店の外に漏れだして広がらないように注意しましょう。

お店の出入口や窓を開けたままにせず、換気ファンや排気ダクトの汚れもこまめにチェックして清掃することも大切です。特に、出口をきれいに保つことは見た目の上でも大事です。

掃除をして清潔に保つ

焼肉店の臭い対策として必須となるのが、日々の清掃やメンテナンスを行い、できるだけ清潔な状態を保つことです。
清掃やメンテナンスを行う際には、以下のポイントを意識しましょう。

  • 排気ダクトの清掃
  • 床、天井、壁面の清掃
  • シンク、排水溝の清掃
  • 店内全体を清潔に保つ
  • 臭いの発生源になるものを屋外に設置しない

これらを徹底して清潔に保つことは、臭い対策だけではなく、お客様に安全に食べ物を提供するうえでも大切な基本的な心構えです。

ただし、焼肉店では油を多く使ったり、油煙が出たりするため、清掃やメンテナンスだけで十分に落とせない汚れがある場合もあります。このような場合は、清掃業者に依頼して定期的にきれいにしてもらうのが良いでしょう。

ゴミの捨て方を工夫する

生ゴミは適切な処理がされていないと悪臭の原因となるため、それを防ぐためにもゴミの置き場所を工夫しましょう。

多くの自治体では事業で発生したゴミを家庭ゴミと同じように処分することは禁止されており、家庭ゴミの集積所に捨てることはできません。そのため、自身で自治体の処理施設に自己搬入するか、ゴミ処理業者と契約をしてゴミを処分してもらう場合がほとんどです。

自己搬入であればゴミの持ち込み回数を増やしてお店にゴミを溜めない、業者に依頼するなら回収頻度を増やすなどの対策も有効となります。また、気温が高い時期はゴミを涼しい場所に置いたり、他の季節よりも処理する頻度を増やしたりなど工夫しましょう。

脱臭装置を使用する

焼肉店の臭い対策として、店外に排出する臭いを抑えるために、脱臭装置を使用するのもよいでしょう。
脱臭装置を利用するメリットは、脱臭装置のグレードによっては、臭いの原因に対して分子レベルで分解や消臭できることです。店内で発生する臭いを抑えることにより、お店の外に悪臭が漏れるのを防ぎ、さらにはお客様の不快感も減らせます。

また、焼肉店では油煙による臭いを軽減するために、油煙除去装置を導入しているところも少なくありません。油煙除去装置は、焼肉や揚げ物などで発生する油煙を捕集する装置で、臭い軽減や油煙による壁、床のべたつきを防ぐ効果も期待できます。

脱臭装置の導入には初期費用がかかるものの、クリーンな環境を保てるため、長期的にみるとメリットが大きいといえるでしょう。

排出口の調整をする

ダクトを通って屋外に排出される焼肉店の臭い対策として、排出口の調整をするのも効果的です。

ダクトの出口が近隣住宅に向いている場合だと、ダクトの向きを変えることによって近隣住宅に臭いが届くのを防ぐことができます。建物の最上階までダクトを伸ばすことは、高い位置で臭いを排出させられるため、近隣住宅への臭い対策として効果的です。

無煙焼肉ロースターを導入する

焼肉店の店内の臭い対策として、無煙焼肉ロースターを導入するのも効果的な方法の一つです。

無煙焼肉ロースターは店内に煙が広がる前に捕集してダクト経由で排出する構造となっているため、一般的なロースターや七輪に比べると店内の臭いを防げます。無煙ロースターには、油煙中の油脂を高効率で捕集する高性能グリスフィルターが搭載されているタイプもあります。

ダクトに油を侵入させないことは、屋外への臭いの拡散を軽減する他、防火対策としても効果が期待できます。
一方、無煙焼肉ロースターを設置する場合は、一台ごとにダクトを配管する必要があります。一度設置するとレイアウトの変更が難しい点、ダクトの清掃を怠ると臭いの発生源になる点に注意が必要です。

まとめ

この記事では、焼肉店の効果的な臭い対策や原因、対処法を紹介しました。

臭いは近隣トラブルやクレームに発展するだけではなく、お客様も衛生面に不安を感じ、客足が遠のく原因にもなりかねません。法律によっても悪臭の防止が定められており、適切な対策をしていないと法律違反によって罰則の対象になる可能性もあります。

お店でどれだけ質のいいサービスを提供しても、臭いですべてが台無しになる場合もあるため、飲食店は臭い対策や悪臭予防が非常に重要です。

焼肉店の臭い対策として、無煙焼肉ロースターや脱臭装置の導入も方法としてあります。

山岡金属工業株式会社では、店内の煙の充満を抑えられる無煙焼肉ロースターや店外に排出する煙や臭いを低減する脱煙・脱臭システムを取り揃えています。

また、製品のご購入に関してのご相談や、ご利用いただいている製品の質問も随時受け付けており、アフターサービスも充実しています。焼肉店を計画されている方や臭い対策に困っているという方も、まずはお気軽にお問い合わせください。

参考文献

飲食業の方のための『臭気対策マニュアル』~ 地域で愛されるための悪臭対策の事例集~環境省水・大気環境局大気生活環境室

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