コラム

焼肉屋に最適なロースターとは?種類や選び方を紹介

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焼肉屋では、調理器具としてロースターを導入する店が一般的です。火力の調整が容易であるほか、無煙ロースターによって、店内に煙がこもることを防げます。

さらに、服や髪の毛にも臭いがつきにくいため、お客さまからも大きなメリットのある調理器具です。
この記事では、ロースターとは何か、七輪との違い、無煙ロースターの種類や特徴、選び方について詳しく解説します。焼肉屋へ無煙ロースターの導入を検討している方は、特徴を理解したうえでお選びください。

そもそもロースターとは?

ロースターとは、主に肉や魚などを焼く際に使われる調理器具です。器具の側方や下方、上方に熱源が設置され、主に輻射熱や伝導熱を利用して食材を焼きます。

中でも、無煙ロースターの最大の特徴は調理中に発生する煙や臭いを抑えられる点です。肉を焼いたときに発生する油煙を即座に排気ダクトで吸引して、煙の客席への広がりを最小限に抑えます。
さらに、ガスタイプの場合、火力調整によって焼け具合を確かめながら調理できるのも魅力です。

焼肉屋では無煙ロースターの導入が増えている

焼肉屋では、煙の発生をさらに抑えた無煙ロースターの導入が増えています。

店内に煙がこもらず、壁や床、天井に付着する油汚れや臭いを軽減できるため、店舗の掃除が楽になると同時に、床の油汚れにより滑って転倒する事故も未然に防ぐことができます。

また、無煙ロースターを使用しない場合は、室内に煙と同時にロースターの排熱も排出されます。換気扇などによって大風量でしっかりと煙や熱を屋外に排出しなければなりませんが、過度な空気の入れ替えは空調にも影響を与えます。

例えば、真夏であれば快適な店内環境を維持するためにエアコンを動作させます。換気は排気と同風量の給気を伴いますが、暑い外気の導入は空調負荷を増大させ、電気代の増加につながります。真冬は逆に寒い外気の導入となり暖房費が増加します。

一方、無煙ロースターであれば煙と同時に排熱も室内に広がる前に吸引して排出されるため、必要以上に店内の空気を入れ替える必要がありません。

また、煙やニオイが発生しにくく、お客さまの髪や服にもつかないため、快適な食事を楽しめる環境を提供できるのがメリットです。
このような理由から焼肉屋では無煙ロースターの導入が増えています。

無煙ロースターと七輪の違い

無煙ロースターと七輪では、煙の排出・火起こし・メンテナンスなどの違いがあります。ここでは、下方に排気ダクトを接続する無煙ロースターと七輪の違いについて解説します。

煙の排出

無煙ロースターと七輪は、煙の排出方法が違います。
焼肉屋に設置されている七輪は、肉を焼いた際に煙が発生するため、各テーブルの上に排煙ダクトを吊り下げ設置するのが一般的です。煙はダクトを通り、屋外へと排出されます。

一方、無煙ロースターはテーブルの下にダクトを設置し、ロースターと直結して屋外へと煙を排出しています。
ただし、ダクトの設置が難しい店舗は、煙の排出や臭いの発生を抑えたノンダクト式の無煙ロースターを設置するケースもあるでしょう。

火起こし

無煙ロースターと七輪の違いのひとつに火起こしの方法が挙げられます。

七輪の場合、火を付けた炭を七輪に入れてお客さまのテーブルに出す形となります。あらかじめ炭の準備が必要になるため、営業当日の、客入りの流れを予測して用意しなければなりません。

一方、無煙ロースターのように電気やガスを使用する設備の場合は、点火するだけで調理を始められます。また、ガス火で点火して炭を使用する炭火ガス着火式ロースターの場合でも、あらかじめ炭に火を着けて準備しておく必要がないため、炭を無駄にしないのもメリットです。

メンテナンス

無煙ロースターと七輪は、煙の排出方法が異なるため、メンテナンス性にも差が表れます。

無煙ロースターの場合は煙の発生が少ないため、店舗内の天井や壁、床などの汚れが少なくなります。そのため、日ごろの店舗清掃などの手間が少なくなるでしょう。

一方で、無煙ロースターはロースター内部、水槽、グリスフィルター、防火ダンパー、ダクトなどの日常の点検と清掃が必要になり、防火ダンパーやダクトなどは専門業者に定期的にメンテナンスを依頼する必要があります。
ロースター内部やダクトに脂が付着した状態のままでいると、火災の原因になるケースもあるため、適切なメンテナンスが大切です。

七輪の場合は、内部のメンテナンスの必要がほとんどありません。本体に溜まった灰を捨てたり、清掃の必要はあるものの、専門業者に依頼しなくてもできる範囲です。ただし、七輪は基本的に汚れを掃除できず、補修ができないため、ひび割れなどが生じた場合は買い替えが必要です。
もちろん、換気フードや排気ダクトには無煙ロースターの場合と同様の日常清掃や定期メンテナンスが必要になります。

無煙ロースターの種類

無煙ロースターには、ガス放熱板式・ガス溶岩式・ガスセラミック炭式・ガスロストル式・炭火ガス着火式の5種類があり、それぞれ特徴が異なります。
ここでは、無煙ロースターの種類ごとに異なる特徴について解説します。

ガス放熱板式

ガス放熱板式は、ガスで放熱板を熱することによって発生する赤外線放射熱で食材を焼き上げます。

赤外線を妨がないために、調理プレートには多くは焼網が用いられます。この方式は火力も強く、調節も容易なので、薄めの肉を手早く焼くのに適しています。

放射熱は表面を均等に焼き上げて、食材のうまみを内部に閉じ込められるといわれています。ガス放熱板式の焼肉ロースターは手軽に使えて、放熱板の手入れも簡単なため、最も簡単で気軽に使えるタイプといえます。

ガス溶岩式

ガス溶岩式は、天然の溶岩石をガスで熱することによって発生する輻射熱で食材を焼き上げます。自然の溶岩を使用することにより、遠赤外線を含む様々な波長構成の放射を発生できます。

溶岩は蓄熱性に優れており十分に熱が加わった溶岩石は強い輻射熱が期待でき、水分が多い食材を焼いて水が出たとしても、温度低下を抑えられ、ガスを使うことで火力維持も容易です。

炭は使うと無くなってしまいますが、溶岩石は使い減りが遅いため、エコやコストの観点からもメリットがあります。また、炭と比べて手間はかかりませんが、天然石には内部にガスが含まれていることがあるため、加熱すると跳ねることがあります。安全のため、使用前にあらかじめ加熱しておくことをおすすめします。

ガスセラミック炭式

ガスセラミック炭式は、セラミック製の人工炭をガスで熱することによって発生する放射熱で食材を焼き上げます。
人工的に成形された炭を用いることで、遠赤外線を含む放射を溶岩タイプよりも安定して発生できます。セラミックは衝撃に弱いという弱点もあるため、取り扱いには注意が必要です。

ガスロストル式

ガスロストル式は、焼き面にロストルと呼ばれるスリット付きの鉄板プレート用います。ロストルの材質は鋳鉄や軟鋼があり、形状は燃焼排気の通るスリットや焼き面に凹凸が施され、食材から出た油を流す勾配や溝が付けられたものもあります。

ロストルは焼き面からの伝導伝熱でゆっくり加熱され、内部までしっかり火が通ります。さらに食材を載せたときにも温度低下が少なく安定した温度で焼くことができ、きれいな焼き目が入ることが特徴です。ただし、鋳鉄製のロストルは鋼板製に比べて脆いので、丁寧な扱いが必要です。

炭火ガス着火式

炭火ガス着火式は、実際の発熱体となる炭に火がつくまでガスで熱し、そのあとは炭で食材を焼き上げていきます。
炭火焼の味わい、雰囲気を楽しめる七輪にもっとも近いタイプの焼肉ロースターです。

また、炭火ガス着火式は備長炭を用いた場合、食材に香ばしい風味をつける効果もあり、炭火ガス着火式ならではのメリットになっています。

無煙ロースターの煙排出方法の違い

無煙ロースターの煙排出方法には、ダクト式と上引きダクト式、ノンダクト式の3種類があります。
ここでは、無煙ロースターの煙を排出する方法の違いについて解説します。

下引きダクト式

一体型の下引きダクト式無煙ロースターはテーブルにロースターを組み込み一体化したビルトイン設計になっています。排気ダクトに接続して多くの焼肉店で採用されています。

メリットは安定性と使いやすさにあります。テーブルと一体化しているため、揺れたり移動したりするリスクが少なく、安定して使用できます。また、テーブル設計の自由度も高く、大人数での利用や、店舗の雰囲気づくりにも貢献するでしょう。

一体型の無煙ロースターは専用設計の機器本体とあわせて、床下への排気ダクト配管を必要とするため、上引きダクト式と比べて初期投資が比較的高くなる傾向がありますが、室内環境を保ちながら長期的な使用を考える焼肉店には最適です。

上引きダクト式

上引きダクト式は、テーブル組み込み型ロースターや、卓上ロースターごとに排気ダクトを直上に設置し、組み合わせて無煙化する方式です。排気のダクトフードが天井から多数吊り下げられるので、視覚的な特徴をもつ方式になっています。

特徴は煙の自然な上昇気流を利用して排煙できる点で、適正に設置すれば下引きタイプより少ない風量で煙を高効率に捕集できます。

フードには機能部品としてグリスフィルターや防火ダンパーが組み込まれ、傘型や箱型に成形されて色々なデザインがあり多くの焼肉店で採用されています。
また、照明付きのフードを使用すれば、煙を照らす演出効果も得られ、店内の雰囲気づくりに一役買います。

ノンダクトダクト式

ノンダクト式無煙ロースターはダクトを使用せずに機器本体で煙や臭い対策する方式で主に以下の2つのタイプがあります。

  • 機器内部にフィルターを搭載し、煙を濾過・吸着して煙や臭いを軽減するタイプ
  • 焼面の温度を150℃前後に設定して煙の発生を抑制するタイプ

法令などに則り、条件が整えば、初期のダクト工事は不要です。ただし、ダクト式に比べて煙や臭いの処理能力は低い場合が多く、機器の構造が複雑なことが少なくありません。そのため、客席に多数のロースターを設置する焼肉店では、全体給排気設計や機器のメンテナンス性に注意が必要です。

無煙ロースターの焼き面の違い

無煙ロースターの焼き面には、焼き方により網焼きとロストルがあり、焼肉の仕上がりは焼き面によって大きく変わります。
ここでは、無煙ロースターの焼き面の違いについて解説します。

焼網

焼網は熱源から放射される赤外線をほとんど素通りさせ、食材に直接照射して加熱調理するために用いられます。赤外線を放射する熱源には、炭火のほか、ガス火で加熱された放熱板や溶岩石、セラミック炭、ガス赤外線バーナもしくは電気シースヒーターなど様々なものが用いられます。

焼網は大きな網目状になっているため、調理中に発生する余分な脂が落ちて、ヘルシーに焼き上がります。
焼網はポピュラーで安価な焼き面であり、多くの焼肉屋で採用されています。

ロストル

ロストルとは、鋳鉄や鋼板にスリットを設けた調理プレートのことです。スリットは燃焼ガスを排気するだけでなく、プレート面の温度をムラ無く均一に保つために開けられています。食材から出た余分な油を落として流れやすくするために溝や傾斜の付けられたものもあります。

主にガスで加熱し、熱伝導で焼くため、厚い肉でもゆっくりと焦がすことなく内部まできれいに焼くことができます。
鉄の蓄熱性により、焼網に比べて、食材を乗せたときの温度低下も少なく安定した温度で焼くことができるのが特徴です。

無煙ロースターの選び方

焼肉店に無煙ロースターを導入するのであれば、店舗のスタイルや使用する食材に合わせた種類を選ぶことが大切です。

ダクトを設置できる建築環境であることはほぼ必須ですが、どのような焼き方で肉を提供したいのかなどを考慮したうえで最適な無煙ロースターを選びましょう。
ここでは、無煙ロースターの選び方について解説します。

設置方法で選ぶ

一般的な設置方法はテーブル下に組み込まれるように設計された一体型下引きダクト、天井にダクトを引き、ロースターの上に排気フードを設置する上引きフード式の2種類です。

下引きダクトは排煙能力が高く、ロースターの設置数が多い大規模店舗や業務用におすすめです。さらにダクトが下方向に設置されるため、見た目がすっきりするため広々とした店内空間づくりに適しています。

いずれにしてもダクトで排気する必要を考えれば、店舗レイアウトの変更は困難であるため、テーブルの配置や座る人数などを考慮して十分に計画を練っておく必要があります。

一方、ダクトを使用せずに機器本体で煙や臭い対策するノンダクト式無煙ロースターがあります。ダクト設置しないためテーブル位置も変更可能ですが、ダクト式に比べて煙や臭いの処理能力は低い場合がありダクト設置が難しい、小規模な店舗で使用されています。

加熱方法で選ぶ

加熱方法によってコスト面や仕上がりが異なるため、特徴を理解したうえで最適な無煙ロースターを選びましょう。
無煙ロースターや無煙化したロースターで使用される加熱方法は主に以下の3つです。

  • ガス火式(放射/電導):網焼き・ロストル
  • 炭火式(放射加熱):網焼き
  • ガスと炭火式(放射加熱);炭の取り扱いを容易にした直火網焼き方式

無煙ロースターの加熱方法のなかでもポピュラーなものがガス式です。ガス式火力を調整しやすく、調理面は焼網やロストルなど好みに合わせて選択できます。

炭火式は、炭焼きならではの雰囲気や香り付け効果が得られるでしょう。炭を用いる場合には、火起こしや火消し、灰の処理という手間や場所が必要になりますが、ガス点火の炭火ロースターを使用する方法であれば、本体内で火を起こせるため、より手軽に炭火焼を実現可能です。

昨今は、炭火は炭のコスト、炭の入手、炭火の管理の手間などの問題と併せて、火災予防の観点から消防規制が厳格になり、採用されるケースが大幅に減ってきています。

焼き面で選ぶ

提供する食材の理想的な焼き方を実現できるかどうかも、無煙ロースター選びでは重要です。
無煙ロースターには、網焼きとロストルの2種類があります。似た用途には鉄板を用いるものもあります。

網焼きの場合は、肉を焼く際に発生する余分な脂を落とせるため、ヘルシーで香ばしい焼き面が特徴です。
一方、ロストルの場合は熱せられたプレートの上で肉を焼くため、内部まで均一に火が通ります。
薄めの肉を手早く焼くのであれば網焼き、分厚い肉をじっくり焼くのであればロストルの選択がおすすめです。

煙の排出方法で選ぶ

煙の排出方法を考えておくことは、ロースターの機種選定以前の問題です。排気ダクトを設置できるかどうかは焼肉屋が運営できるかどうかの基本検討事項です。
ダクトの設置や配管も床下か天井で機種も異なるため、よく検討し選びましょう。

床下に排気ダクトを設置できるのであれば、通常の下引き無煙ロースターの中から店舗のスタイルに合ったものを選べばよいでしょう。

天井に排気ダクトを設置できるのなら、上引きフード式の機種とたくさんのロースター機種から選定可能です。
排気ダクトを設けることができなければ、席数の多い焼肉店を開くことは難しいため煙の排出方法をきちんと考慮しておきましょう。

宴会場などで排気ダクトを使えない場合は、ダクトを使用せずに機器本体で煙や臭い対策をするノンダクト方式のロースターや無煙調理ワゴンがおすすめです。

熱源で選ぶ

無煙ロースターの熱源には、ガス式・炭火式・ガス+炭火式があり、焼き方には網焼きやロストルがあります。それぞれ焼いた肉の仕上がりや使用後のメンテナンス性が異なりますので、導入する際は、どのような焼き上がりの肉を提供したいのか、メンテナンス性などを考慮して検討するとよいでしょう。

まとめ

焼肉屋では、煙の発生を最小限に抑えた無煙ロースターの導入が増えています。

煙の発生を抑えられる無煙ロースターによって店舗の壁や天井、床に付着する油汚れを軽減できるため、店内清掃の手間を減らします。また、無煙ロースターの種類によってコストや利便性、焼き上がりが異なり、運営スタイルに応じて選べるのも魅力です。

店内への煙の充満を抑え、快適な空間でお客さまへ美味しい肉を提供したいのであれば、山岡金属工業株式会社が販売する無煙ロースターがおすすめです。

山岡金属工業では、赤熱板焼網タイプと角型ロストルタイプの無煙ロースターを提供しています。いずれも下引きタイプの排気方法を採用しており、煙を気にせずに美味しく調理できます。また、各部品を取外し可能なスタッキング方式の採用によって、日々のお手入れが簡単なのも特徴です。

他にも上引きフードや上引きフードとの組み合わせで使用するテーブル組み込み型ロースターや卓上ロースター、しちりんロースターも各種取り揃えております。

排気ダクトのご相談や設計にも承っておりますので、焼肉屋に無煙ロースターの導入を検討している方は、ぜひ山岡金属工業株式会社の製品をご検討ください。

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