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ガスロースターとは?種類やメリット、注意点も紹介

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焼肉店で多く導入されている肉焼き機としてガスロースターが挙げられます。

ガスロースターといっても、放熱板や溶岩、セラミック炭などを用いて放射加熱する焼網タイプやスリット孔付き鉄板を加熱して伝導加熱するロストルタイプなどさまざまなタイプがあります。導入を検討している場合は、それぞれの特長を把握し、目的に応じたものを選ぶことが大切です。

また、なかには「ガスロースターと炭火はどんな違いがあるの?」「ガスロースターにはどんなメリットがあるの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
この記事では、ガスロースターの概要や種類、メリット、注意点を紹介します。

ガスロースターとは

ガスロースターとは、ガスを使って肉や魚を焼く調理機器のことです。ここでは、焼肉店で多く使われる焼肉ガスロースターについて詳しく解説します。

ガスロースターの仕組み

焼肉店で多く採用されているガスロースターの仕組みは、大きく分けて以下の二つに分けられます。

  • 焼網の下にある放熱板や溶岩やセラミック炭をガスバーナーで加熱して赤外線を放射させ、その輻射熱で焼くタイプ
  • ロストルといわれるプレートをガスバーナーで加熱して温度を上げ、高温になったロストルからの伝導熱で焼くタイプ

いずれも、使用するガスの種類は都市ガスかプロパンガスです。ガスはコックで火力調整がラクにできるため、高温、中温、低温のように肉の大きさや他の食材の特性に合わせて焼くことができます。

ガスロースターの焼き上がりは、調理プレートの種類や加熱方式で異なります。
厚い肉を焼く場合は、鉄板やロストルの伝導加熱でじっくり焼くと表面を焦がすことなく中まで焼くことができ、薄い肉や野菜を焼く場合は、焼き網上で赤外線を放射加熱するとはやく焼くことができます。お店の特徴や食材に合わせて選定することが重要です。

ガスロースターの形

ガスロースターの形はテーブルと一体化しているビルトインタイプや、卓上に置くタイプなどさまざまです。焼き面にも角型と丸形があります。

ビルトインタイプのロースターでもダクト接続を伴わない場合は、移動が可能で、店舗の状況に合わせたレイアウト変更が可能です。また、卓上タイプは必要なときにテーブルに設置して使うことができ、必要ないときは収納しておくこともできます。

無煙ガスロースターとは

ここでは焼肉店などで採用される業務用の無煙ガスロースターについて解説します。
無煙ガスロースターは焼肉などの調理時に発生する煙や臭いの拡散を効果的に抑制する調理器具です。従来のロースターとは異なり、煙を発生直後に吸引する設計により煙の漏れ広がりを最小限に抑えます。

無煙ガスロースターとは一般に床下にダクトを設置して排煙するタイプをいいます。一方で、テーブル組み込み型ビルトインタイプや卓上型の焼肉ロースターの直上に吸い込みフードを設置して上引きフードタイプを構成する方式もあります。このタイプは「上引きフード」「上引きダクト」などと呼ばれています。

あまり知られていませんが、ノンダクトと言われる排気ダクトを用いないタイプも存在します。

炭火との違い

焼肉における炭火焼きとは、主に七輪の中にオガ炭や黒炭、備長炭などの炭を入れ、これらを燃やした火で肉を焼くことです。

炭火はガスロースターのように火力を調整できず、高温・中温・低温の調整がしにくいデメリットがあります。また、熱源に油が落ちる構造となるため、煙やにおいが発生しやすいことはデメリットになります。

逆に、落ちた焼き汁や脂が炭にあたって煙が立ちのぼり、焼肉の香りが楽しめることがメリットになることもあります。炭火のニオイそのものは香ばしさがあり、食欲を引きたてます。特に備長炭のように上質な炭は独特の香ばしさがあります。

ちなみに、ガスロースターの中には炭に火がつくまでガスを使い、そのあとは七輪の炭火焼きと同じ焼き方をする炭火タイプがあります。

なお、ガス熱源でも赤外線輻射加熱タイプでは、炭火に近い焼け具合が実現します。火力調整がしやすい分、扱いやすく失敗しにくいともいえるでしょう。

ガスロースターの種類

ガスロースターの加熱方式には、ガス式放熱板タイプ、ガス式溶岩石タイプ、ガス式セラミック炭タイプ、ガス式ロストルタイプの4つあります。ここでは、それぞれのロースターの特徴を紹介します。

ガス式放熱板タイプ

ガス式放熱板タイプは、ガスで放熱板を熱することによって発生する赤外線放射熱で食材を焼き上げます。赤外線を妨げないために、調理プレートには主に焼網が用いられます。放熱板方式は火力も強く調節も容易なので、薄めの肉を手早く焼くのに適しています。

放射熱は表面を均等に焼き上げて食材の外側を硬化させ、食材のうまみを内部に閉じ込められるといわれています。ガス放熱板式の焼肉ロースターは手軽に使えて、放熱板の手入れも簡単に行えるため、最も簡単で気軽に使えるタイプです。

ガス式溶岩石タイプ

ガス式溶岩石タイプは、天然の溶岩石をガスで熱することによって発生する輻射熱で食材を焼き上げます。自然の溶岩を使用することにで、遠赤外線を含む様々な波長構成の放射を発生できます。

溶岩は蓄熱性に優れており十分に熱が加わった溶岩石は、強い輻射熱が期待できます。水分が多い食材を焼いて水が出たとしても、温度低下を抑えられ、ガスを使うことで火力維持も容易です。

炭は使うと無くなってしまいますが、溶岩石は使い減りが遅いため、エコやコストの観点からもメリットがあります。

また、炭に比べて手間はかかりませんが、天然石のため内部にガスを含んでいることがあり、加熱時に跳ねる場合があります。そのため、あらかじめ加熱しておく必要があります。

ガス式セラミック炭タイプ

ガス式セラミック炭タイプは、ガスでセラミック製の人工炭を熱することによって発生する放射熱で食材を焼き上げます。

人工炭を用いることで、遠赤外線を含む放射を、溶岩タイプよりも安定して発生させます。セラミックは衝撃に弱いという弱点もあるため、取り扱いには注意しなければなりません。

ガス式ロストルタイプ

ガスロストル式は、焼き面にロストルと呼ばれるスリット付きの鉄板プレート用います。

ロストルの材質は鋳鉄や軟鋼ですが、形状は燃焼排気の通るスリットや焼き面に凹凸が施され、食材から出た油を流す傾斜や溝が付けられています。

ロストルの上に乗せられた肉は、焼き面からの伝導伝熱でゆっくり加熱され、内部まで火が通ります。さらに食材を載せたときにもその蓄熱性により温度低下が少なく安定した温度で焼くことができ、きれいな焼き目が入ることが特徴です。

スリットや溝で食材の余分な油を落とすことで、焼き網と同じようにヘルシーに焼き上がります。ただし、鋳鉄製のロストルは鋼板製に比べて脆いので、丁寧な扱いが必要です。

ガス式はガスの青火で燃焼できることやロストルの形状との組み合わせで、バーナ等の機能部品をある程度隠ぺいして配置することができ、機器本体を油からの保護や高温部からの発煙を抑えることができます。

ガス式炭火焼タイプ

ガス式炭火焼タイプは、実際の発熱体となる炭に火がつくまでガスで熱し、そのあとは炭で食材を焼き上げていきます。

炭火焼の味わい、雰囲気を楽しめる七輪にもっとも近いタイプの焼肉ロースターです。また、ガス式炭火焼タイプは備長炭を用いた場合、食材に香ばしい風味をつける効果もあり、ガス式炭火焼タイプならではのメリットになっています。

ガスロースターのメリット

焼肉店で多く導入されているように、ガスロースターを使った焼肉にはさまざまなメリットがあります。ここでは、ガスロースターのメリットを紹介します。

空調への影響が小さい

ガスロースターのメリットは、炭火に比べると店内の室温上昇を抑えやすいため、空調への影響が小さいことです。

炭火の場合は調理で大量の煙が発生するほか、一度着火すると、食事を終えたあとも炭は燃え続けることになり、その間も室温の上昇は止まりません。

空調で室温はコントロールできますが、上昇し続ける室温を下げるためには、多くのエネルギーを使用するため光熱費もたくさんかかります。

特に夏場はもともとの気温も高いため、空調の温度設定や稼働にも大きな負担を与えるでしょう。

一方、ガスロースターの場合は食事を終えたあとや食事の休憩中など、火が必要ないときは簡単に止めることができます。火のオン、オフだけではなく、火力の調整もできるため、高温で燃え続ける炭火よりも空調への影響が小さくなります。

ただし、ガスでも換気は必要です。炭火よりは少なくできますが、ダクト式の排気では、同じダクトに繋がっているロースターは通常排気を個別に発停できないことに注意しましょう。

着火や消火が簡単にできる

ガスロースターのメリットは、着火や消火が簡単に行えるため、ムダな労力や人員を割かなくて済むことです。
炭火の場合だと事前に火起こしをし、そのあとも炭火の管理が必要となるため、余分な手間がかかってしまいます。

基本的に焼肉店で使用した炭は、火消しつぼで消し、消し炭として保管をして次回に使用します。しかし、火消しつぼに入れたからといって、直後に火が消えるわけではありません。中の酸素がなくなるまでは燃え続けるため、少なからず炭のロスが発生します。

特に備長炭のように高級な炭を使用する場合だと、炭のロスが多くなることで、余分なコストもかかるでしょう。その点、ガスロースターは炭火に比べると点火や消火に余分な手間がかからないメリットがあります。

火力のコントロールができる

高温、中温、低温のように、食材や状況に合わせて火力のコントロールができることもガスロースターのメリットです。特に、火力調節をお客様にお任せできることは、省力化において無視できません。

炭火の場合だと、燃える炭の火力をこまかく調整することは不可能であり、並べる場所や網までの距離などで火力を調整しなければなりません。

炭焼きのプロや慣れている人であれば炭でもある程度の温度調整は可能であり、裏返しの時間調整等で上手に焼くことができますが、不慣れな人やお客様にとっては難しいでしょう。

火力のコントロールが難しいと、ついつい話に夢中になって食材を焦がしてしまったり、中まで火が通っていなかったりといった失敗につながります。
その点、ガスロースターは自由自在に火力調整ができるため、「話が弾んでいるときは弱火」「どんどん食べたいときは強火」のような調整も可能です。

ランニングコストに優れている

ガスロースターは初期コストがかかるものの、ランニングコストに優れているため、長期的にみると経済的です。

ガスロースターを導入する場合は、本体を購入したうえでダクト工事も必要となります。一方、七輪の場合も排煙設備を整える費用はかかるものの、七輪そのものはガスロースターに比べると安価です。

しかし、炭の場合は客足を予想しながら事前に炭を準備しておく必要があり、食材を焼いていなくても炭を消費し続けます。ガスロースターも使っている間はガスを消費するものの、食材を焼いていないときには余分なコストがかかりません。

また、空調にかかるコストも換気負荷の大きい炭火の方が高くなるため、数年単位でみると光熱費の負担も大きく変わってくるでしょう。ランニングコストを重視して導入するなら、ガスロースターがおすすめです。

ロストルで食材を美味しく焼き上げられる

ガスロースターは、網の代わりにロストルの使用も可能で、ロストルで食材を美味しく焼き上げられることもメリットです。ガスロースターのロストルとは、主に厚みのある鋳鉄や鋼板という熱の伝導性能と蓄熱性能のバランスに優れた素材で作られたもので、伝導熱で肉などを焼くものです。

ロストルを使用する場合、ガスで熱されたロストル面で食材が焼けるため、鉄板焼きのようにじっくりと焼き上げることができます。厚切り肉の調理に適し、ロストル面のリブに合わせた焼け目を着けることもできます。

スリットから油が流れ落ちるので、ヘルシーな点は焼き網に匹敵します。さらに、油が高温部分や機能部品に落ちることを抑制するようにスリットや溝が配置されているものもあり、煙があがりにくいのもメリットです。

ガスロースターの注意点

ガスロースターにはさまざまなメリットがありますが、一方で注意点もあります。
ここでは、ガスロースターを使用する際の注意点を紹介します。

燃焼温度が上がりやすい

ガス火で焼肉する場合、火力調節することができます。しかし、多くのガス機器は火力調節がなされる前提で火力が強めに設定されているので、火力調節を怠ると焦がす場合があることがデメリットになります。食材や状況に応じた適切な火力調整が必要となります。

ガスのにおいが気になる場合がある?

ガスにはニオイがつけられているため、中には焼肉時にガスのニオイが気になるという方もいます。

ガスはもともと無臭の気体ですが、そのままだとガス漏れに気づきません。そのため、ガスには人工的に付臭剤を加えてニオイがつけられています。
この付臭剤のニオイは「タマネギが腐ったようなニオイ」と表現されるように、一般的に良いニオイとはいえません。

ただし、ガスのニオイは燃焼時に完全に消えるため、正常に使用中はガスのニオイが残るわけではありません。しかし、ガス漏れなどの際にはニオイが発生するためニオイが気になる場合は注意が必要です。

まとめ

この記事では、ガスロースターの特徴や種類、メリット、注意点を紹介しました。
ガスロースターはガスを使って肉や魚を焼く調理機器のことです。ガスロースターといっても、放熱板や溶岩、セラミック炭などを熱して輻射熱で焼く焼網タイプや、加熱されたプレートの伝導熱で焼くロストルタイプなどさまざまなタイプがあります。

炭火に比べると、点消火、さらに火力のコントロールがしやすいなどメリットも多くあります。また、炭火に比べるとランニングコストに優れることや、煙やにおいが気になりにくいことも魅力です。

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